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東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE 7F

1982年静岡県生まれ。芝「タテル ヨシノ」、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」を経て2009年に渡仏。パリ「アストランス」、コペンハーゲン「AOC」「レストランマーシャル」で修業し、’15年「スブリム」、’20年「L'ARGENT」オープンに伴い、シェフに就任。
※2021年1月時点です。

調理は伝統的なフレンチ、プレゼンテーションは北欧スタイルで。

私は、フランス料理業界のトップシェフ、吉野建シェフの元で伝統的なフランス料理の基礎を学びました。美味しさの基軸であるフォンの取り方と味つけは、今でも吉野シェフのやり方をベースにしています。その後、パリのモダンフレンチで働き、自分らしい個性を表現するため、フレンチだけではない何かを取り入れたいと思っていた時に、デンマークの「noma」の料理本を見てその美しさに惹かれ、デンマーク最先端のレストランに入店しました。調理法がとても斬新で、今までに味わったことがない食材の組み合わせやプレゼンテーションを学びました。食材は“地産地消”をテーマに地元のものを使用し、自国の生産者を大切にしていましたね。その影響もあり、できる限り日本の食材を使用し、調理はフランス、プレゼンテーションは北欧スタイルを取り入れた料理で、私なりの表現をしています。

料理の香りは瞬間的なもの。その、できたての香りをダイレクトに届けたい。

私の料理は何を食べているかが明確にわかるように、シンプルな構成にしています。まず主役となる季節の食材、それに対してベストな相性の食材、そしてそれらをまとめる香りの要素。香りはスパイスやハーブ、オイルなどです。スパイスは、日本の修業先ではGABAN®ブランドしか使用していないので、私にとってはGABAN®のスパイスが欠かせません。愛用して18年以上になりますね。常備しているのはブラックペッパー、ホワイトペッパー、ジュニパーベリーです。GABAN®のブラックペッパーは、複数の産地のブラックペッパーをブレンドしていることで、常に品質が安定していることと、香りが良いので気に入っています。料理はいつも同じ味を提供することがレストランにとってとても大切なことです。その点、クオリティが一定になるように保たれているGABAN®のブラックペッパーを使うと料理にブレが出ませんね。

 また、私は作りたての美味しさを、1秒でも早くお客様に届けたいと思っています。厨房を囲んだカウンター席にしたのも、作りたての美味しさをすぐに味わっていただけるからです。特に温製料理の香りは瞬間的なもの。香りを生かすために、例えば、ソースはできるだけお客様の目の前でかけて仕上げています。また、ブラックペッパーと帆立貝、ジャガイモをタイムで包んだ料理(レシピ参照)は、タイムを開けた時に立ち上るブラックペッパーの香りを逃さずに、ダイレクトに楽しんでいただくためのプレゼンテーションです。 このサプライズはとても好評ですね。

ブラックペッパーは、アンコウの丸ごとローストやフォワ・グラ、乳製品との組み合わせに。

ブラックペッパーを生かした料理でおすすめは、ブラックペッパーをすり込んだアンコウのローストです。アンコウは頭と皮を取って筒状にし、身にブラックペッパーを細かくしたものをすり込んで、澄ましバターでアロゼしながらローストして、身にブラックペッパーとバターの香りを染み込ませます。アンコウは弾力と旨味があり、肉に近い魚なので、肉にブラックペッパーを使用する感覚で組み合わせました。ブラックペッパーが、アンコウ特有の匂いを抑え、なおかつ香り良く仕上がります。その他には、フォワ・グラや乳製品などとの相性が好みです。フォワ・グラをはさんだブラックペッパーのチュイル(レシピ参照)やヨーグルトのロック(レシピ参照)などに使用しています。フォワ・グラの一品は、ブラックペッパーグラウンドをチュイルに練り込み、仕上げにも振ることで香りを利かせました。ヨーグルトのロックは、ヨーグルトのエスプーマにブラックペッパーでアクセントをつけています。ブラックペッパーは形状によって香りの立ち方が異なり、また、料理によってパンチをつけるのか余韻を残すのかなどの活用目的も違いますので、そのイメージに合わせてホール、荒挽、グラウンドを使いわけると良いでしょう。まんべんなくマイルドな香りをつけたいときには、グラウンドを使うと、ホールや荒挽よりも香りのブレが出なくていいですね。